ノイズ対策の基礎:終端抵抗を配置する際はここに注意!

ノイズ対策の基礎 (1)

 

 

今回のコラムでは、終端抵抗、その中でも並列終端を配置する際の注意点についてご紹介します。

以下の動画でもご確認頂けますので是非ご覧ください。

 

終端抵抗

 

終端抵抗とはケーブルやプリント基板パターンの末端における信号の不要反射を防ぐために

高周波信号のエネルギーを抵抗器により消費させるものです。

 

まず終端の方式には、直列終端と並列終端とがあります。

 

【直列終端】

直列終端は、信号源デバイスの低インピーダンス出力に直列に抵抗を入れて

インピーダンス整合に近づけるもので、デバイス出力のすぐ後に抵抗が直列に入ります。

よく耳にするかと思いますがダンピング抵抗の事です。

手軽なために多く使われていると思います。

 

【並列終端】

並列終端は、負荷デバイスの高インピーダンス入力に並列に抵抗を入れて

インピーダンス整合に近づけるもので、受け側のデバイスの近くに信号線と電源間および

信号線とGND間に抵抗が入っているものです。

反射ノイズを終端でインピーダンスマッチングさせて抑えます。

 

今回は、この並列終端に関するお話。

 

 

では、並列終端はどこに配置するのがベストでしょうか。

 

それは、「最終受信端の後」です。

 

受信端のすぐ横がベストですが、

基板設計によっては近接して設置できないこともあります。

その場合、少し離した位置に設置することになります。

では、少し離した位置に終端抵抗を設置した場合、どのように波形の変化が表れるのでしょうか。

 

今回は受信端から5mm前と5mm後に終端抵抗を設置した場合の波形の変化を見てみます。

 

 

【受信端の5mm前に配置した場合】

図3

まずは受信端の前に終端抵抗を配置した場合の波形です。

以下の波形をみると、オーバーシュートとリンギングが発生しているように見えます。

図a

【受信端の5mm後に配置した場合】

図2

次に受信端の後に終端抵抗を配置した場合の波形です。

受信端より前に配置した時よりパターンが長くなっていますが、

以下の波形を見ると、オーバーシュートとリンギングが抑えられていることが分かります。


図1a

このように、終端抵抗を配置する箇所で波形の違いが見られ、

ノイズ対策の効果が変わってきます。

ノイズを低減する目的で終端抵抗を配置する場合は

最終受信端の後に配置することが大切です。

受信端のすぐ傍に設置できない場合も、後に配置する必要があります。

 

 

並列終端の最適な設置箇所について、ご理解頂けましたでしょうか。

 

ノイズ低減のために、送信端近くに配置するダンピング抵抗が代表的ですが、

基板設計時に送信端近くに配置できない場合などは並列終端を受信端近く、

受信端の後に配置する事も出来ます。

インピーダンスマッチングの実施で並列終端を取付けずに信号反射を無くす事もできますが、

デバイスの入力と出力とプリント基板パターンの特性インピーダンスを

正しく合わせる必要があります。

また、信号の振幅減少や消費電力が増加するなどの性質もありますので

仕様やパターン設計時の状況(部品配置・ 距離)など良く確認して進める事が必要です。

 

今回は並列終端についてのコラムでしたが、

「ダンピング抵抗についても教えてよ…!」という方は以下の動画をご確認下さい。

ダンピング抵抗値の設定900k

 

終端抵抗は、基板設計者の皆様にとっては基礎かもしれませんが、

ノイズに関するご相談を頂き部品配置を確認すると、終端抵抗の位置が適切でなく

ノイズが発生している場合が多くあります。

外注先にパターン設計を任せている場合も今一度、

終端抵抗の位置に注意して確認をしてみてください。

 

なお、アート電子では、ノイズに強い基板設計を得意としております。

基板設計についてお悩みがございましたら、お気軽に当社に御相談下さい。

 

 

基板設計に関するご相談はこちら