ノイズ対策はリターンパスを見直そう

リターンパス

 

以前の記事は、ノイズ対策 基礎のきそ と題して

プレーン共振解析を用いたノイズ対策 についてお伝えしたこともありましたが、

 

もちろん、プリント基板のパターン設計においては、

ノイズ対策のために配慮すべきことが他にもたくさんあります。

 

このうち、今回は リターンパス確保のポイント をお伝えいたします。

 

 

放射ノイズの発生を抑制するためには、

リターンパスをしっかり確保しておくべきというのは、        

プリント基板に携わる方なら、みなさんよくご存知だと思います。

 

<ノイズ対策.comでご紹介している事例>

  ・GNDプレーンを分断しないよう設計する

  ・GNDプレーンを分離しない

  ・バスラインのビアはリターンパスを確保する

 

 

しかし、入念に設計したプリント基板でも、

それが確実に反映されているか・・・というと、実はそうでないことが

多いようです。

 

 

なぜなら、我々アート電子が日々お客様からご相談を頂く、

ノイズがどうしても抑えらず何とかして欲しい・・・という案件を紐解いてみると、

リターンパスが確保できていない例が、けっこう多いからです。

 

せっかくGNDプレーンを生成しても、配置・配線の状況で

リターンパス電流が迂回をして、ノイズ発生の原因になってしまう、

というケースもよく見受けられます。

 

 

こうなってしまう原因としては、我々の経験上、

 

1.内層のスリットが複雑になり、リターンパスを分断させてしまう

 

2.VIAを密集して配置することで、リターンパスが分断される

 

 

の大きく2つのパターンに分けることができるのではないか?

と考えています。

 

 

1.については、複数の電源とGNDがあるとスリットが多くできてしまいます。

電源の種類が多いと、GNDが少なくなりますので、

電源とGNDのスリットの上を配線しなくてはいけなくなることもあります。

 

このようなケースでリターンパスを確保するためには、

スリットのないGNDの上を配線する必要があります。

リターン電流はスリットのないGNDを流れますので、

スリットがあると迂回してしまいます。

GNDがない場合は別の層のGNDを流れて遠回りします。

そのため、重要な配線はそのような層の対向層には配線を行わず、

GND層の隣に行うか、GNDの上に配線が行われるように注意が必要です。

 

 

2.については高密度実装基板によく見られる傾向であり、この対策としては、

密集しているVIAの間隔を広げ、VIAとVIAの間にGNDの面を入れるようにします。

そうすることで迂回していたリターン電流がストレートに戻る経路が確保され、

これだけでも放射ノイズの軽減に対して、とても有効に働きます。

 

 

ただし、高密度実装基板などは特にそうですが、

すべての信号線に対してリターンパスを確保するには限界があるのも事実です。

 

そんな時は、例えば高速信号ラインを優先的に確保するなど、優先順位を考えて

配置することが求められます。

 

 

こうしたリターンパス確保のポイントについては、

ノイズ対策チャンネル に解説動画を掲載しておりますので、

こちらも合わせてご確認ください。

リターンパス

ノイズを抑えるためのリターンパス確保のポイント

 

 

こちらの動画をぜひ参考にして頂いて、

ノイズの少ないプリント基板の開発・設計を実現しましょう。

 

ノイズ対策チャンネルでは、パターン設計における、

ノイズ対策の基礎のきそを中心に動順次作成して参りますので

ぜひチャンネル登録をして頂ければ、幸いです。