フレキシブル基板のメリット・デメリット

フレキ

 

 

昨今、プリント基板を必要とする機器の小型化や薄型化、複雑化に伴い

これまでリジット基板しか手掛けてこなかった開発・設計エンジニアの方々が

フレキシブル基板を使った電子機器を手掛けざるを得ない、というケースが

多く発生しています。

 

アート電子では、これまで数多くのフレキシブル基板を手掛けてきた経験から

こうした初めて取り扱われる方に対しても検討初期の段階から提案などを

行い、スピーディな開発とスムーズな量産立上げを支援しています。

 

しかし、そもそもフレキシブル基板の理解、つまりメリットとデメリットを

押さえていないことから、フレキシブル基板の開発をスタートさせたが

後戻りが多く開発期間もコストかかってしまった、

あるいは想定以上のイニシャルコストがかかり社内稟議に手間取った・・・

といったトラブルを多く耳にするようになったと感じます。

 

そこで今回は、フレキシブル基板を使った電子機器の開発・設計を行うにあたり

あらかじめ押さえておきたいメリットとデメリットを纏めましたので、

ぜひ下記をお読み頂き、今後の参考にして頂ければと思います。

 

 

1.フレキシブル基板のメリット

 

メリットについては、フレキシブル基板の選択基準になるので

述べるまでもないかも知れませんが、下記のとおりです。

 

①屈曲できる

  フレキシブル基板という名前のとおり、最大のメリットは曲げられることです。

  特に耐久性が高く繰り返し曲げができる点は、リジット基板同士を配線等で

  繋いで使用するケースと比較すると大きな差別化ポイントになります。

 

②薄型化できる

  リジット基板の場合、薄くできたとしても、板厚:0.8tくらいが一般的かと思います。

  フレキシブル基板は、層構成にもよりますが、板厚:0.2t前後の厚みとなります。(2層の場合)

 

③軽量化できる

  残銅率など、仕様により異なりますので、あくまでも参考程度としてのご案内となりますが、

  55×91の大きさで、リジット基板(板厚0.8t)が約9g,フレキシブル基板が約1gでした。

  (当社サンプル基板にて計測)

 

④小型化できる

  曲げられる・薄くできる・軽くなるのはもちろんですが、リジット基板に比較し

  ファインパターンを形成できるので、ラインスペースを狭く設計でき、その結果、

  小型化にも貢献します。

 

⑤設計自由度が高い

  上記を総合すると、つまり、リジット基板と比較した場合、

  フレキシブル基板は設計自由度が高く、様々な機器に使用することができる、

  と言えます。

 

 

 

2.デメリット

 

次はフレキシブル基板を採用するにあたってのデメリットです。

リジット基板は殆どのエンジニアの方々が手掛けた経験があると思いますので、

フレキシブル基板とリジット基板を比較した場合に、

まずどういったデメリットがあるのか?どんなトラブルが発生しやすいのか?を

押さえ、それらを回避するための事前準備・検討をしっかり行うということが、

スムーズな開発に繋がると考えます。

 

①価格

  フレキシブル基板は生板自体の価格が高くなります。

  試作基板でおおよそ、3~8倍になります。

  (仕様、大きさ、数量により大きく変動がございます)

  また実装の際にキャリアなどの治具が必要になることがあり、

  イニシャルコストも高くなる傾向にあります。

 

②納期

  これも価格と同様に、リジット基板と比較すると長くなります。

  試作で2層板のリジット基板を製造した場合、実働3日程度ですが、

  フレキシブル基板では実働5日~2週間程度となります。

  (こちらも仕様により変動がございます。)

  従って、この事を念頭においた開発スケジュールの設定が必要になります。

 

③設計

  例えばランドパターンの設計が、リジット基板とは違う形状が推奨される、

  あるいは曲げる部分に実装する際には補強板が必須、という具合に

  フレキシブル基板特有の「押さえておくべき設計ポイント」が多数存在します。

 

  また経験上、試作回数の増加や設計の後戻りなどが発生し、価格や納期が

  想定よりも高く・長くなってしまうことが多くあります。

  しかし、これについては開発・設計時のDRをしっかり行うことで

  トラブルを回避することが可能です。詳しくは下記リンクをご参照ください。

 

 

  フレキシブル基板設計の際に押さえておきたい5つのポイント

 

 

④基板メーカー主導になってしまいがち

  これは、もしかして最もおおきなポイントかも知れません。

  少しでもフレキシブル基板を取り扱った事がある方なら

  思い当たることがあると思います。

 

  通常、リジット基板の場合は我々開発・設計者側が主導で仕様を決める、

  つまり基板スペックをこちらが指示することが通常ですが、

  

  フレキシブル基板の場合はその逆で、

  開発・設計者側がフレキシブル基板に精通していないと、

  スペックを決定する主導権を基板メーカー側が握ってしまい、

  その結果、思うように開発をコントロールできないといった事が生じ得ます。

 

  いわゆる、中古車市場におけるレモン(いわゆる情報の非対称性)状態なのですが

  上記の価格・納期・設計のトラブルを回避するためには、フレキシブル基板開発の

  肝を依頼者側が押さえて、主導権を握ることが開発をスムーズに進める秘訣です。

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

アート電子では、フレキシブル基板のパターン設計のご依頼を頂いた時点から、

前述の想定されるトラブルを先回りで対応し、納期・価格の調整をさせて頂きます。

 

また当社にご依頼頂く最大のメリットは、フレキシブル基板の開発・設計に精通しており、

フレキシブル基板メーカーの主導にはならずに、あくまでお客様の要望に基づいて

最適な開発が行えることにあります。

 

フレキシブル基板の開発・設計なら、アート電子にお任せください。

 

 

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