設計者は「神経質」な方がいいの?

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電子回路・プリント基板開発の
「要」 と言っても過言ではなのが、
回路設計者と、パターン設計者。

 

業界では、こうした設計者に対しては
「神経質な方がいい」「心配性な人ほどミスが少ない」
などとよく言われると思います。

 

確かに、細部まで気を配って考えて設計をしないと
回路が動きませんので、設計者は大雑把すぎるのは
ちょっと困りもの、とも感じます。

 

ですが、その設計者が「神経質」で「心配性」で
あったとしても、それだけでは不十分といえます。

 

なぜなら、いくらそういった資質をお持ちの方でも、
やはりミスをする時はありますし、最新の使える技術情報を
持ち合わせているとは言い切れないからです。

 

こうした事に対応していく為には、設計者の能力・素質・性格に加え、
状況に合わせた役割分担と仕組みの構築 がとても大事です。

 

例えば、回路設計者がパターン設計を行うのが
一番手っ取り早いというのは、とても多い意見です。
回路とパターンのコミュニケーションが不要なので
スピードが格段に向上するからです。

 

しかしこれは、試作のフェーズであれば、の話です。

 

これが量産のフェーズとなると、大きく話が変わってきます。

 

なぜなら、アッセンブリーやプリント基板に関わる

製造技術的な知識が足りないと、本来求められる機能が
果たせないばかりか、自己満足的なモノになり、
歩留まりなどを度外視した製品になりかねないからです。

 

技術がどんどん進化する世の中にあっては、
いくら神経質でも、これらを全てカバーすることは
不可能な領域に入ってきているのです。

 

もっと具体的な話をすると、例えばパターン設計者には、
部品の小型化や高密度実装、プリント基板の高多層化や
非貫通基板などに関する深い知見を持ちつつも、
それらに関する最新の情報を常にキャッチアップしていく
必要があります。

 

これは各メーカーから次々にリリースされる、デバイスを
よく知っておくことが必要な、回路設計者においても同様です。

 

こうした技術は日進月歩なので、過去の経験だけではなく、
プラスアルファの技術・知見が必要とされるのです。

 

従って、先に述べた神経質であるとか、そういった性格的なものは
ある程度は必要なのですが、それよりも、設計者の性格によらない
役割分担・専門性の追求、およびチェック機能が働く仕組みを
構築する事の方が、もっと大事だと言えると思います。