IC・MOSFETやCPUなどの放熱パッドやヒートシンクのあるデバイスは、それらが無いデバイスに比較すると基板や筐体に熱を逃がすことができるので、概して性能を上げることができます。一方で、通常のリフローはんだで実装が可能なこれらのデバイスは、リワークとなると少し注意して取り扱う必要があります。以下、2つのケースに分けて解説していきたいと思います。
1.デバイスの裏に放熱パッドがあるケース
世の中によくあるのは、放熱パッドがデバイスのお腹の部分(基板側)にあるものです。この放熱パッドのデバイスをリワークする場合は、リードフレーム(足)の部分のみではんだ付けを行うデバイスに比較すると、少し難易度が上がります。というのは、リードフレームのみであれば、はんだごてをうまく使えば取り外すことができるからです(これは再度はんだ付けする際にも同様のことが言えます)。
放熱パッド付きのデバイスは、足の部分のみを半田ごてで熱しても、当然のことながら放熱パッドの部分は はんだ でがっちりと固定されているので取り外すことができませんが、昨今のリワーク装置を用いれば、比較的簡単に取り外すことが可能です。
2.デバイスの上面にヒートシンクが付いているケース
リワークを行う際に問題になるのはこちらのケースです。デバイスとしては「部品の上側に放熱板がついたCPUやGPUのBGA」などであり、具体的な使用例としては、パソコンの上面にある放熱板にCPUのヒートシンクを貼り付けて、そこをFANで冷却するタイプの物です。
このタイプのデバイスをリワークする際には両面から熱を加えことになりますが、チップの熱を放熱しやすいように設計されている分、当然、熱ダメージもチップに直接作用することになります。従って、最適な温度プロファイルをその部品ごとに設定する必要があり、リワーク装置にある自動プロファイルをそのまま適用すると、壊れる可能性が大きくなります。新しいデバイスなどに対しては、まず経験値による温度プロファイルを設定し、最適化していうというプロセスになります。
基板リワークを行う際には、最新のリワーク装置を保有していること、リワーク後のはんだ付け状態を確認するためのX線検査装置などの設備が充実していることが重要ですが、これらの装置があるだけでは、今回取り上げたようなデバイスの上面にヒートシンクが付いている部品を取り外す際に壊してしまうこともあります。従って、様々な基板・デバイスに対しての知見と経験があり、それに対応する温度プロファイルを最適化できているか?そこがリワークの成功確率を向上させることに繋がるのです。