納期だけが決まっていて仕様が決まらない、という試作の案件は、
アート電子の経験から言っても、ほぼ100%に近い数字だと思います。
もちろん、すべての試作が期日どおりに完成するという訳にはいきませんが、
決めた日程どおりに完成する試作は、
初期段階で重要なポイントを、必ずといっていいほど押さえています。
そのポイントとは、
仕様ではなく、「コンセプト」が80%決まった時点で
試作のパートナー先に情報を共有し、相談している、
ということです。
ここでいうコンセプトとは、たとえばこんな事です。
・主要部品と大まかな回路構成だけは決まっている
・ブロック図のみが決まっている。
部品選定から回路設計は任せたい
・伝えられる情報が、機能・仕様・注意事項等
実は、試作を依頼されるアート電子のような
パートナー企業としては、上記のような情報だけでもあれば、
お客様に追加のヒアリングをするなどで、
試作を進めていけるものです。
もちろん、どの程度のコンセプトで形にできるのかは
パートナー企業の実力や回路規模、そして難易度にもよります。
しかし、それらを判断するためにも、上記のようなコンセプトを、
・できるだけ早く相談・依頼する
・細かい部分は任せてしまう
ことが、日程をずらさない為にもとても重要なのです。
もっと言うと、スムーズに進めるためには、パートナー企業について、
・何が得意か?どこまで対応ができるか?
・部品在庫などの情報が共有されているかどうか
を把握し、整理ておくことが重要になります。
試作とは、すべてが決められないから試作なのであり、
そもそも試作とはこういうもの、という前提で捉える必要があります。
繰り返しになりますが、仕様ではなく、コンセプトさえ決めておき、
あとはいかに段取りよく進めていくかを考えていけばいいのです。