特性インピーダンスを考慮したパターン設計のポイント

アート電子

 

電子回路の配線線材やプリント基板パターンなどの信号伝送線路は

インピーダンスという特性数値を持っています。

 

この特性インピーダンスとは、

プリント基板のパターンやケーブルに電気信号が伝わった時の電圧と電流の比で

一般的に使用される抵抗(インピーダンス)とは全く異なります。

 

シングルだと50Ω、差動だと90Ωや100Ωなどが多いかと思います。

 

高品質な基板開発を実現するためには、

このインピーダンスを、

”信号を送り出す側 と  信号を受け取る側”

で整合させることが非常に重要です。

(=インピーダンス整合・インピーダンスマッチング) 

 

仮に、インピーダンス整合が実現できていないと

マッチングしていない端点でエネルギーの反射が起こるために

一部の信号が出口方向に戻り、

伝送路で遅延したその信号が伝送信号の元波形に混ざってしまいます。

 

その結果、信号波形の乱れや、信号伝達ロスの波形劣化により

「誤動作が発生してしまう…」

「希望する出力が思うように出ない…」

なんて事態に陥る可能性があります。

 

それではどのような点に注意して、

パターン設計を行えばよいのでしょうか。

 

今回は、この特性インピーダンスを考慮したパターン設計のポイントを

詳しくご説明したいと思います。

 

 

ポイント①:直角配線を避けて信号ラインを設計する

 

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例えば、パターン配線を上記のように直角に配線すると

直角部分では直線部分よりもパターン幅が広くなるため、

インピーダンスが変化します。

 

すると、インピーダンス変化の影響を受け、ノイズが発生しやすくなります。

 

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 そのため、インピーダンスを変化させないためにも、

できる限り直線でパターンを引くことが望ましいといえます。

 

どうしても曲げたりする必要がある場合は、

直角ではなく上記のように45°に曲げ配線をします。

 

このようにすることで高速伝送線路においても直角配線と比較すると

パターン幅の変化が小さいため、特性インピーダンスへの影響は小さくなります。

その結果、ノイズの発生しにくいパターン設計を実現することが可能です。

 

>>直角配線を避けて信号ラインを設計する

 

 

ポイント②:差動ペア信号は等長平行配線を行う

 

2-1

当然のことながら、差動ペア信号は特性インピーダンスを考慮すると、

平行にパターン配線を行うことが重要です。

また、これに加えて、配線長の調整にも注意が必要です。

 

例えば、上図のように、片方をミアンダ配線にして配線長を調整すると、

その間のパターン間隔が変わり、

インピーダンスコントロールを行っている場合、

差動インピーダンスの不整合が発生します。

 

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そのため、差動で動作する信号ラインの場合は、

上図のように極力パターン間隔を保った上で 配線長を調整します。

これにより、差動インピーダンスを保つことが可能となり、

ノイズに強い設計となります。

 

>>差動ペア信号は等長平行配線を行う

 

 

ポイント③:差動ペア配線に隣接するパターンの間隔に注意する

 

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差動ペア信号の差動インピーダンスは、

パターン幅、差動ペア間の間隔のみならず、

隣接するパターンとの間隔も影響します。

 

差動ペア信号同士は当然ですが、

隣接するパターンが近いと差動インピーダンスの整合が取れなくなります。

 

この隣接するパターンにはGNDも含まれます。

例えば、上図ではパターンとGNDベタ間のクリアランスが

パターン幅と同様となっているため、差動インピーダンスに影響を及ぼす危険性が高いといえます。

 

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上図の通り、差動ペア信号と隣接するパターンは、

 パターン幅の2倍以上の間隔をとった方が良いといえます。

 (※パターン幅0.15mmの場合、0.3mm以上の間隔が必要)

差動ペア信号の周囲がGNDベタであっても、パターン幅の2倍以上の間隔が必要です。

 

この工夫を施すことで、インピーダンスの不整合を防止することが可能となります。

 

>>差動ペア配線に隣接するパターンの間隔に注意する

 

 

ポイント④:終端抵抗は受信端の後に配置する

 

ここまで、パターンの配線長や配線幅に関するポイントをお伝えしてきましたが、

これらの工夫だけではインピーダンス整合が難しいケースもあります。

 

こういった時に終端抵抗を用いることで、

簡単に、且つ、擬似的にインピーダンス整合を実現をすることができます。

 

終端抵抗は伝送路の特性インピーダンスに合わせた値を使用します。

しかしながら、配置する位置には注意が必要です。

 

例えば、下図のように、

終端抵抗を受信端から5mm前に配置したとします。

 

すると、波形を見ると分かる通り、

オーバーシュートとリンギングが発生してしまいます。

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では、下図の通り、反対に受信端の後に終端抵抗を配置してみます。

波形を見ると、オーバーシュートとリンギングが抑制されていることが分かります。

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このように、終端抵抗を配置する箇所で波形の違いが見られ、

ノイズ対策の効果が変わってきます。

 

インピーダンス整合によるノイズ低減を目的として

終端抵抗を配置する場合は

最終受信端の後に配置することが大切です。

 

>>ノイズ対策の基礎:終端抵抗を配置する際はここに注意!

 

 

パターン設計ならアート電子にお任せください!

 

いかがでしょうか。

今回は、特性インピーダンスを考慮したパターン設計のポイント

をご紹介しました。

 

もちろん、これら以外にも、

特性インピーダンスを考慮したパターン設計のポイントは多々ございますので、

是非、その他の記事もご確認いただけますと幸いです。

 

ちなみに、アート電子では特性インピーダンスを考慮した

ノイズに強いパターン設計を非常に得意としています。

 

さらには、パターン設計のみならず、

回路設計〜部品実装まで一貫して対応することが可能ですので、

お困りの案件がございましたら、まずは一度当社にご相談ください。

 

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また、当社ではその他の多数の技術情報をWEBサイトにアップしていますので、

ご興味をお持ちの方はぜひご一読頂ければと思います。

 

■ 直角配線を避けて信号ラインを設計する

 

■ 差動ペア信号は等長平行配線を行う

 

■ 差動ペア配線に隣接するパターンの間隔に注意する

 

■ ノイズ対策の基礎:終端抵抗を配置する際はここに注意!

 

■ パターン設計の基礎:インピーダンスを考慮した差動ペア配線のポイント

 

■ インピーダンス整合 (インピーダンスマッチング)

 

■ 特性インピーダンス